もくじ
リストラ ・ パワハラ ⇒ 退職後を 公的給付で乗り切ろう!
健康保険組合の審査を通過して 無事に第1回目の傷病手当金が振り込まれた方、先ずはひと安心ですね。
最大1年6か月のあいだ、経済的な困窮から逃れて療養に専念してください。
今回は【続編③】です。
以下についてご案内します。
・診察時、医師に何を話すか
・病院で処方された薬をもらわないとどうなるか
・傷病手当金の受給中にアルバイトをしたらどうなるか
・傷病手当金から失業手当へ移行後のアルバイトはOKか
これらを、傷病手当金 及び 失業手当の受給中に
「やるべきこと」と、
「やってはダメなこと」の2つに大きく分けて、理由も説明しながら解りやすくご案内します。
※ 傷病手当金の受給後に 再就職の活動(失業手当が給付される)へ移行する方も居られると思います。
傷病手当金から失業手当へのスムースな移行についても、本記事中で触れているので参考になさってください。
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【あわせて読みたい】
【その①】リストラ・パワハラ 退職「失業手当」「傷病手当金」について知ろう! ~ 傷病手当金・申請編 ~( ☞ こちら)では、公的給付の制度である傷病手当金の受給申請(傷病手当金の初歩知識)について 実践的な知識と具体的な手順をご案内します。
【あわせて読みたい】
【続編④】リストラ・パワハラ 退職「失業手当」「傷病手当金」について知ろう! ~ 節税・節約編 ~ ( ☞ こちら)では、診察代や薬代の軽減・節税 など、経済的負担を軽くするノウハウを「やると良いこと」としてご案内します。
受給決定後の通院頻度は?
第1回目の受給確定後に、最大1年6か月のあいだ 毎月継続して受給するためには、受給期間中の過ごし方がとても大切です。
傷病手当金・申請編の記事( ☞ こちら )でも念押ししましたが、うつ治療は毎月1回は通院して診察を受けてください(理由は次章)。
毎月1回の通院を前提に、以下ご案内します。
「やるべきこと」
① やるべきこと(病院編)
うつの治療は基本的に薬物療法が主体なので、ほぼ100パーセント 診察の際に薬が処方されます。
なので、会計の際に薬の処方箋が発行されたら 有効期限内(当日を含め4日間以内。土日祝を含む)に院内または院外の処方箋薬局へ行き、薬を購入しましょう。
もし処方箋を意図的に放置した場合は、次回診察で医師がお薬手帳を確認した際に 薬を購入(服用)していないことがばれてしまいます。
精神医療では、医師がお薬手帳を確認するのはよくあることです。
“ いや、大丈夫。自分はお薬手帳を医師に見せないから(忘れたり失くしたことにするから)! ”
いいえ、それでも そう遠くない時期に、あなたが薬局で薬を購入していないことが発覚する可能性が高いです。
なぜなら、病院が処方箋を発行したにもかかわらず どこの薬局でも薬を処方した事実がない場合は、その相違について 保険支払機関が病院や医師に照会をかけるからです(病院が不正請求をしているのではないかと、保険支払機関から疑われるため)。
又は ウッカリの例として、とりあえず薬局に処方箋を出したものの 在庫が無くてその日に薬を受け取れず、翌日などに取りに来てくれと指示されたのを忘れてしまうケースもあるかと思います。
この場合は 薬局から まずあなたに連絡が入り、あなたと連絡が取れなければ 次に薬局は病院に対して “ ◯◯という患者さんが薬を取りに来ていません ” と連絡を入れることになります。
上記のように、故意・過失に関係なく いずれのケースでも、結果としてあなたが薬を購入していないことが病院や医師にばれて あなたと医師の信頼関係が壊れた場合は、以後の診察が消極的になるか、最悪の場合は診察してもらえなくなる懸念があります。
そして、毎月の受給に必須の「医師の意見書」も発行してもらえなくなる可能性が高まるので注意しましょう。
第1回目の通院は 傷病手当金受給を申請するためのものでしたが、うつの治療を開始する2回目の通院時は、健保組合から入手した傷病手当金 支給申請書の2ページ目以降、「療養担当の医師記載欄」の書面を 診察時に医師へ渡しましょう(医師記入欄を鉛筆でうすく囲んでおいてあげるとスムースです)。
3回目以降も同様に、医師の診察を終えたタイミングで “ 今月も申請するので記載願います ” と言って 直接医師へ書面を渡し、その日の会計時に間に合うように書き上げてもらうのが良策です。
書類を受け取るだけのために 後日病院を訪れることなく、受診したその日のうちに健保組合宛てに投函して、毎月の健康保険組合の申請〆切日に間に合うようにしましょう。
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傷病手当金受給者らの経験談をまとめると、大規模な国公立・県立・市立・私立の医学部付属病院では、“ 次回の訪院時(1か月後)にお渡しするか、出来上がったらご連絡します ” というパタンが多いとのことです。
中小規模や精神医療の専門病院は、即日や比較的早く発行してくれる傾向にある様です。
以上のことから、たとえ経済事情が苦しくても薬代は負担しなければならないと諦めましょう。
うつの回復はもちろんですが、医師とあなたの信頼関係を維持する(毎月スムースに「医師の意見書」を発行してもらう)ために、処方された薬は必ず購入するようにしてください。
通院している間、医師は複数の種類の薬を勧めてきます。
うつの薬という点では同じでも、薬の種類や成分の含有量に違いがある場合は 効能や副作用が異なるので、医師はその感想を患者を通じて知りたがっています。
なので、診察の都度 服用した感想を医師に伝えるようにしましょう。
感想の例としては、
・眠気がでる
・めまいやふらつきが起こる
・胸や胃がムカムカ(吐き気が)する
・身体(筋肉)が硬くなる
・○○(薬名)よりも□□の方が気持ちが落ち着く … など
あまり良く覚えていない場合は、薬局でもらった薬の説明書をよく読んで、自分が当てはまる症状(眠気や吐き気などの有無や程度、気持ちの落ち着き具合いなど)を医師へ伝えましょう。
うつ治療の過程で医師があなたに聞きたいことは、「診察前の一か月間をどのように過ごしたか」ということと、「薬を服用してどうだったか」の2つが大きな柱となります。
薬の感想をしっかり伝えてくれる患者は 医師から見て非常にありがたい存在となり、その後の信頼関係の強化に大きく役立つことになります。
この項のまとめ
・処方箋の薬は必ず購入する(医師との信頼関係維持)
・薬服用の感想を毎月医師に伝える(医師との信頼関係強化)
・処方を無視すると(薬を購入しないと)必ず発覚する
・発覚した場合は信頼関係の破壊 ⇒「医師の意見書」発行に影響
② やるべきこと(失業手当の手続き編)
以下の手続きを欠くと、傷病手当金の後に失業手当が受けられなくなる可能性があるので必ず着手しましょう。
リストラ退職に限らず、失職した場合にまず思い浮かぶのが「失業手当」と思います。
「傷病手当金・申請編」の記事( ☞ こちら )でも触れましたが、傷病手当金と失業保険の各給付は同時にもらうことはできないルールなので、退職後の受給の順番として、まず傷病手当金を受給(最大1年6カ月)して、その後に失業手当の受給を開始することになります。
しかし、失業手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間というのがルールなので、退職後に傷病手当金を1年以上受給し続けた場合は 失業手当を受給する資格を失ってしまいます。
そこで、前もって失業手当の「受給期間延長申請」という手続きが必要になります。
この手続きは、退職日の翌日から30日が過ぎてから ご自身がお住いの住居所を管轄する公共職業安定所(以下、ハローワークといいます)の窓口で行うほか、郵送による申請書の交付や提出も可能です。
上記、退職日の翌日から30日が過ぎた時点で、速やかに申請を行いましょう(申請が遅い場合は、受給期間の延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給出来なくなる可能性があるため)。
なお、延長可能な期間は原則1年(最長3年)です。
傷病手当金の受給は最大1年6カ月(18カ月)です。
失業手当は90日(3か月)~330日(11か月)です。
21か月~29か月あいだ 生活費を確保できるので、うつ治療の快方に不安を感じる方は「受給期間延長手続き」を確実に申請しておきましょう。
「受給期間延長申請」を申請後の延長期間中(傷病手当金の受給期間中と時期が重なります)に内職 等を行うと、その時点で延長が解除になったり延長手続きそのものが取り消しと同じ状態になることがあります。
いずれの場合も、傷病手当金の後に失業手当が受給できなくなる、または受給期間を満期利用できなくなる可能性が高まります。
なので、後章の「やってはダメなこと(傷病手当金編)」でも触れますが、傷病手当金 ⇒ 失業手当とつなげて受給する予定であれば、傷病手当金の受給期間中は内職(自宅で行う軽度な内容も含む)を行わないようにするか、もし特別な事情があるなどアルバイトをせざるを得ない場合は、所轄のハローワークに問い合わせて 失業手当の受給に影響しないかを確認するようにしましょう(関連する法令:雇用保険法施行規則31条7)。
法令出典:e-Govポータル(https://www.e-gov.go.jp)
さて、傷病手当金の受給期間が最大1年6か月というのは誰にでも当てはまるルールですが、失業手当の場合は以下の事情により受給期間が人によって異なります。
・退職の形態が自己都合か会社都合か
・保険料をどれだけの期間払ったか
・離職時の年齢が何歳か …など
90日~330日のあいだで変動するので、ご自身の日数を確認しておきましょう。
以下の表を参考にしてください(2022年6月現在)。
なお、失業手当は「受給と並行して就職活動を行う」ことが欠かせない条件なので、傷病手当金から失業手当に移行する際に 医師から就職活動の承認を得たことを示す書面(以下、※注 を参照)が必要です。
書面は市区町村によって名称が異なる場合があり、「就業可能意見書」、「主治医意見書」、「延長解除証明書」などがありますが これらは同じものです(この書面はハローワークで受給期間延長手続きを申請した際に 空欄のものを手渡してくれるので保管しておきましょう)。
傷病手当金の受給期間中であっても、心身が回復して働く意思があれば 失業手当に移行することも可能です。
その場合、失業手当の給付を受けようとする前の月(作成に時間がかかるため)に 空欄の書面を病院に持参して、「就労可能である」ことを医師に記載してもらってください。
無事書面を発行してくれたら、傷病手当金から失業手当に切れ目なく移行するよう、所轄のハローワークで失業手当受給の手続きを進めてください。
以下の図は全体の流れです。
失業手当に移行するおよそ1か月にはハローワークを訪ね、不明な点等を確認して余裕をもって手続きを進めるようにするのも良いでしょう。
(※注)
医師に書面を記載してもらう際の注意点は、以下の記事中 >「雇用保険受給資格者証の取得手順」の項 で詳しくご案内しています。必要に応じて参照なさってください。
【続編④】リストラ・パワハラ 退職「失業手当」「傷病手当金」について知ろう! ~ 節税・節約編 ~ ( ☞ こちら)では、診察代や薬代の軽減・節税 など、経済的負担を軽くするノウハウを「やると良いこと」としてご案内します。
この項のまとめ
・ハローワークで、失業手当の受給期間延長を申請する
・うつ症状が軽い方も、念のため 延長をオススメ
・傷病手当金から失業手当への移行は、医師による書面発行が必要
「やってはダメなこと」
これをやったら受給資格を失いますよ、についてお伝えします。
以下の2つの項目があります。
① やってはダメなこと(傷病手当金編)
なので、原則は受給中に働いて給料を得るのはルール違反(給付打ち切り)となります。
しかし、働いて給与をもらったことが 即ルール違反とみなされるかというと、そうならないケースもあるようです。
平成15年に社会保険の管轄省庁である厚労省から出た通達(行政官庁が所管の機関や職員に文書で通知すること)では、“ 病気療養の一環で働く程度なら、引き続き働けない状態だと判断してOK ” といった趣旨の記述があります。
つまり、
✓ 給与ではなくリハビリ(社会復帰)を目的とした労働で、
✓ 本来の職務とは異なる簡単な仕事で、
✓ 週の労働時間が20時間を超えず、
✓ 中長期間 継続して報酬を得ているような実態が無いこと
といったあたりが、傷病手当金給付の根拠法令である健康保険法第99条や 厚労省通達に違反しないラインではないでしょうか(実際に 某メーカーの健保組合では、 軽度な自宅内職を認めた例があります)。
ただし、上記の✓は あくまで私(スロウ人)の主観です。
判断し采配するのは健保組合なので、リハビリ目的や経済的に苦しいなどの理由で働いて賃金を得る(ただし、生活費の足し程度が限度でしょう)をする場合は、健保組合の担当者に正直に相談するのが良いでしょう。
もし相談する際は、上記の✓4項目をガイドラインとして提案してみるのも良いでしょう。
- うつ症状の長期化が濃厚で、傷病手当金を1年以上 受給する可能性が高い
- 傷病手当金の満期後に 失業手当の受給を予定している
もし延長手続きが取り消された場合は、失業手当の本来の受給期間である「離職(退職)日の翌日から1年間」が即適用となってしまいます。
分かりやすく言うと、
傷病手当金を受給している期間は失業手当を受給することは出来ない(= 基本ルール)
退職後に傷病手当金を1年間以上 受給しているタイミングで 突然 失業手当の受給期間延長が取り消されると、失業手当を受給出来なくなる(0円)
結論として、現在 傷病手当金を受給しており1年以上受給後に 失業手当を受給予定の方は、以下を覚えておきましょう。
- 傷病手当金の受給期間中(= 失業手当の受給期間延長中)は、就職・就労・内職など収入を得る活動は行わない(労働収入が0円でも延長解除のケース有り)。
- 医師から軽労働を勧められた場合は要注意。
傷病手当金に関しては、健保組合に相談・確認して書面で許可を得る。失業手当の受給期間延長ルールとの関係では、所轄のハローワークに確認する(もしOKが出たら必ず書面等で記録を残す)。
なお、傷病手当金から失業手当へ移行した後に、失業手当を受給しながらアルバイトや内職をして収入を得ることは(一定の制限はあるものの )ルール上問題ありません。
失業手当受給中のアルバイトについては、次項「② やってはダメなこと(失業手当編)」を参照してください。
もし あなたがまだ在職しており、会社を休んで傷病手当金を受給している場合は、こっそりパートやアルバイトなどをすると住民税の通知が会社送達された際にバレる可能性(※)があります。
(※ なぜバレるかの詳細は当記事では割愛します。在職中の副業バレについては、本項下段【あわせて読みたい】別記事で解説しています。)
その後、人事部や経理部などから健保組合に連絡されることにより 給付の打ち切りにつながりかねません。
会社のルールで副業を禁止していれば そちらにも引っかかってくるので注意が必要です。
なお、家賃や月極駐車場などの不動産収入は副業とはみなされません。
自宅で行う株の売買やファンド等の投資も ネット上の社労士さんのサイトでは OKとされていることが多い様ですが、油断は禁物です(下記の事例を参照)。
労働内容が軽度の内職は、家計の足し程度の低額な報酬であれば許容範囲と判断される可能性が高いですが、念のため健保組合に確認した方が良いでしょう。
働いた対価としての報酬ではない フリマサイト(メルカリ、ヤフオク等)の販売利益、自身のブログサイトで得た広告収入なども 副業とみなされることは無いといわれますが、あまりにも熱心かつ収入が高額であると判断された場合は 状況を細かく問われることになり、支給打ち切りもあり得るので注意が必要です。
ちなみに、私(スロウ人)が在職していた会社の健保組合担当者に “ どの程度の労働であれば傷病手当金が不支給にならないか ” を質問したところ、支給打ち切りになり得る事例を示してくれました。
事 例
3.株式や金融商品の売買等の投資活動を継続的に行い、その態様が健常者と同等であるとみなした場合(利益の有無は問わない)
上記の事例から、ネットオークションや投資活動も やりようによっては支給打ち切りにつながりかねないことがわかります。
しかしながら、通常フリマサイトのアカウントは第三者に知られることはありませんし、金融商品の取引き履歴などは もし漏洩したら大問題です。
なので、あなた自身が会社に取引の態様を申告したり 会社と通じている第三者(同僚など)へ話さなければ、上記事例の2.と3.については健保組合に把握されることは無いでしょう(← 不正行為を奨励している訳ではなく ご自身の判断となります)。
上記は いち健保組合の判断基準ではあるものの、健常者と同じように働けそうかどうか あなたの生活実態で判断していることがうかがえます。
また、事例1.の様な賃金を得る対価労働の場合は、健保組合や会社に報告していなくても、在職中は 税金との関係で会社(経理など)を経由して健保組合に発覚する可能性が高いでしょう。
もし発覚した場合は、健保組合から労働の実態を確認されることになります。
不支給の要件に該当すると判断された場合は、活動を開始した月まで遡(さかのぼ)って支給打ち切りとなります(すでに支給された分は返還を求められる)。
上記の事例として示したものにも 収入の額や活動の範囲などに明確な基準は無く、打ち切りを判断するのはそれぞれの健保組合担当者(の主観に依る部分が大きい)であるため、“ 生活ぶりは健常者となんら変わりませんね ” と見て取れるような活動は 受給期間中は控えるようおススメします。
心身のためにも、無理をしない様になさってください。
小アドバイス:
うつの治療中に、医師から ” リハビリのために少し働いてみることを勧めます ” と軽度の労働を促されることがあります。
その言葉に従い 実際に働いてしまった場合は、後になって健保組合との間で揉める原因となる可能性があるので注意が必要です。
たとえそれが医師の指示であり 試験的に働き始めたケースであっても、健保組合から見て「働いて収入が得られる状態である」と判断されれば 支給打ち切りにつながる可能性があります。
この項のまとめ
・原則、働いて給料をもらわないこと
・もし働くならリハビリの域を越えないこと(健保組合に確認)
・パート、アルバイトは税金面でばれることがある
・株や投資はOKと言われるが、程度による
・自宅内職はグレー(失業手当の受給を予定している場合は軽度な自宅内職であってもNG)
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② やってはダメなこと(失業手当編)
こちらも傷病手当金と同様に、給付を受けながらバリバリ働いてしまった場合(正式に就職して働く)はルール違反となります。
前項で書いたように、傷病手当金でも一定の要件を満たせば働くことが許容されるケースがありますが、それは失業手当も同じです。
ただし 失業手当の場合は、傷病手当金のように 明確な基準を欠いたままグレーゾーンの中で働くということは無く、明文化されたルールの範囲内であれば 堂々とアルバイトや内職が可能です。
但し、就業形態が一定の要件を満たしてしまうと アルバイトとは認められず就労(=就職)したとみなされてしまいます。
失業手当をこれから受給しようとしている方や、すでに給付中の方が「やってはダメ」な代表格は、以下の3つです。
× 雇用保険の受給資格が決定した日から、通算して7日間の待期期間中にアルバイトをすること(← この期間は完全に失業状態でなければならない。数百円程度の少額な収入でもNG)
× アルバイトの内容が「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用が見込まれる」こと(← 雇用保険の加入条件を満たしてしまうためNG)
× 失業認定日に提出する失業認定申告書で、アルバイトをした事実の申告を怠たること(← 失業保険の不正受給とみなされ罰則が適用されます)
失業手当とアルバイトの関係は、Web上で数多くの注意喚起がなされており検索もヒットしやすいので、当スロウ人サイトでは詳細は割愛します。
当スロウ人サイトが この項でもっとも強調したいのは、ルールを逸脱したアルバイトがハローワーク(正式名称は公共職業安定所といい、厚労省が設置した行政機関 いわゆる「お役所」です)にバレてしまった場合のペナルティについてです。
過去には検察から悪質性が高いと判断されて、詐欺罪で立件されたケースもあります。
支給停止はもちろんですが、返還命令(不正受給分を全額返還)や納付命令(不正受給の2倍にあたる金額を納付)などの厳しい処分が下されることがあり、返還命令と納付命令を併せると不正受給額の3倍となり(いわゆる3倍返しと呼ばれている処分です)、その後の生活が困窮してしまいます。
上記の命令に従わなかったり無視した場合は、延滞金が付加された請求が来ることとなり、財産の差し押さえなど強制執行に踏み切るケースもあるので注意が必要です。
小アドバイス:
ネット上で、「傷病手当金を不正受給した場合は健保組合へ3倍返しをしなければならない」と書かれているのを頻繁に見かけますが、誤りです。
「3倍返し」のルールは失業手当上のルール(雇用保険法)であり、傷病手当金(健康保険法)の返還には適用されません。
傷病手当金の受給における不正行為は、各健保組合の内規に従って返還することになりますが、不正を行った時点まで遡った以降を全額返還となるのが一般的です。
なぜアルバイト(不正受給とみなされるもの)がハローワークにバレてしまうのかというと、多くは以下の3つです。
💀 自分ではアルバイトのつもりでも、仕事先が「条件を満たしているから」と雇用保険への加入手続きをしてしまうことがある(雇用保険を所管しているのはハローワークなのですぐ発覚する)
💀 マイナンバーの照合で発覚する(仕事先とハローワークの双方に提出するマイナンバーが照合されることで不正受給が即時発覚)
💀 知人友人によるハローワークへの通報(不正受給に限らず犯罪が発覚する理由として通報による発覚の例は多数ある)
失業手当に関するルール逸脱による不正受給は、傷病手当金の不正受給よりも発覚する可能性が高いことは覚えておきましょう。
「官」同士である税務署とハローワークの連携で発覚するのです。
特に、マイナンバーの照会で発覚する事例は 今後増えると思われます。
なので、もし失業手当を受給中にアルバイトをしたい場合は、ルール(失業手当受給中のアルバイトに関する制限事項)を確実に押さえておきましょう。
上記のルールは ハローワークインターネットサービス を通じてチェックすることもできますが、失業手当の受給手続き2回目(初回認定日と言います)でしっかり説明があります。
不明な点は、ハローワーク職員の方に 直接ルールの手ほどきを受けるのがおススメです。
雇用保険説明会を皮切りに、就労相談や失業認定 等ハローワークには何度も足を運ばなければならないので、職員の方とのコミュニケーションを深めておいて損はありません(何でもさらけ出すということでは無く、あくまでも就労支援に関する範囲においてであり、適度な距離感も必要です)。
私(スロウ人)が当記事で最後にお伝えしたいのは、失業手当とアルバイト収入のベストミックスを見つけてほしい、ということです。
例えば、就労(就職)とみなされない1日4時間以上でかつ週20時間未満の仕事に限定することや、4時間未満の場合は収入を抑えて基本手当日額(1日にもらえる失業手当の額)を減額されない様にするなど、ルールの範囲内で あなたのご事情に合ったポイントを見出してください。
そのノウハウはWeb 上で数多く記事化されており、検索もヒットしやすいため 当記事中では割愛させていただきます。
※ 検索例: 4時間未満 失業手当
生活維持はもちろんですが、失業期間中の経済不安によるストレスを低減するためにも やはりお金は重要です。
あなたの生活経済が少しでも潤うことを願っています。
この項のまとめ
・失業手当受給中のアルバイトは ルールの範囲内ならOK
・ルールは ハロワークで初回認定日に説明してもらえる
・失業手当の不正受給は 傷病手当金よりも高い確率で発覚する
・発覚後のペナルティは その後の生活を圧迫するほど大きい
本記事は以上です。
傷病手当金 …【続編④】のご案内
職を失ってまず必要なのは、衣食住を維持できる現金と、新しい生活に向けて心身ともに療養する時間です。
その2つを整えるために、回り道を避けて スムーズに公的給付制度を活用してください。
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